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ナノインプリント

モスアイ構造のシミュレーション

モスアイ開発品の反射率シミュレーションの例を紹介します。モスアイ開発品は、表面に200から300ナノメーターサイズの微細な凹凸を持つことで、光の反射を制御し、更に干渉色を抑えることができます。

反射率シミュレーションとは、モスアイ開発品の表面形状の条件をコンピュータ上で設定し、反射及び透過光の強度を予測することです。反射率シミュレーションは、モスアイ開発品のデザインに役立ちます。

ここでは、モスアイ開発品の反射率シミュレーションの例と近いパラメーターをインプリントした反射率の測定結果との比較とともにご覧ください。

シミュレーション結果
モスアイ構造をインプリントしたフィルムの測定結果

このように、モスアイ開発品の反射率シミュレーションは、凹凸の深さやサイズのパラメーターが異なる設計では、反射率の波長分布がどのように変化するかを見ることができます。約400ナノメートルから800ナノメートルの可視光領域での反射率が小さければ、光の反射による損失が少なく、光線透過率が高くなります。特に人間の目にとって最も明るく感じる波長である550ナノメートルでの反射率の大きさは、反射防止特性を判断するのに重要な指標となります。

モスアイ構造による反射防止の特徴として、全体的に反射率を抑制できることがあります。その傾向はシミュレーション結果とフィルムの測定結果にも反映されています。

設計Aと設計Bは、非常に似たパターンを有していますが、構造の高さや間隔などが異なる設計となっています。パラメーターの違いは僅かですが、グラフが横方向にシフトする様子が確認できます。可視光の反射防止を目的とする場合、550ナノメートルの波長での反射防止効果が高い設計Aが優位と言えます。700ナノメートル以上の高い波長域の反射防止特性を重視する場合には、設計Bが優位と言えます。

シミュレーション結果が実際のフィルムとの結果に高い相関性を持たせることができております。シミュレーションは、薄膜技術の有力なツールです。ぜひ、ご活用ください。

カスタマイズ金型 ナノインプリント 機能性フィルム

マイクロレンズ形状の精度向上

従来工法からの改良


レンチキュラーレンズなどの単純な形状からマイクロレンズアレイなどの複雑形状に対応する為に加工方法の改良を行っております。従来では、粗い階段構造からの加工にて構造を得ていましたが、工法の改良により複雑形状にも対応が可能となりました。

新工法の改良①


新工法の導入開発として、知見を積み重ねることで高い精度での設計の再現を再現することができました。再現性の追求と同時に、カスタマイズ設計の自由度を高める取り組みとして、構造高さを増加させることにも取り組み、25µmの限界高さから50µmの限界高さへの改良も行っています。

再現性が高まることで、周期的な歪みが新たな課題となってきました。

新工法の改良②


周期的な歪みは、大きなレンズではレンズ内に複数のスジが入り込むので、課題となっておりました。更なる開発を進めた結果、歪みを解消することが可能となりました。

これらの開発により、設計データにより近い微細構造の作成が可能となっております。