Monthly Archives: 10月 2012

ナノインプリント 機能性フィルム

イノックスHP微ニューアル

機能性フィルム事業のHPを僅かですが改装しました。

ナノインプリント

有機ELの光取出し②

 前回(有機ELの光取出し①)の続きとなります。

 モスアイ構造が表面にある場合の光取出しに対する影響についてを説明しますが、今回はその前にモスアイ構造による屈折率変化について触れたいとおもいます。

 モスアイ構造による反射防止機能は、「光の波長より小さな構造は、屈折率の変化を緩やかにすることが可能であり、これによって反射を大幅に低減できる。」と説明しています。「屈折率の変化を緩やかにする」とは、光がモスアイ構造を通過している時に屈折率が下図のように変化している状態になります。

 

 変化を緩やかにする状態を多層膜で表現すると下図になります。モスアイ構造を厚み方向に等分して、等分した層の屈折率を空気層と樹脂層の割合から計算します。モスアイ構造の高さが200nmだとすると、50nmの厚みの層が4層あり、屈折率が0.1ずつ増加している層構成となります。

界面の屈折率変化が1.0→1.5となると反射率は4%なのに対し、1.0→1.1だと0.23%となります。(入射角0°の場合)
1.1→1.2、1.2→1.3、1.3→1.4、1.4→1.5の変化でも0.2〜0.1%となります。単純な足し算でも約0.8%となり、段階的な変化による効果は絶大です。(実際には、各層の厚みや波長、反射光の影響が発生します。)

 モスアイ構造の反射率へのシミュレーションは、原理的にはこのような方法を用いて計算しています。下図のようにさらに細分化して計算することで、精度を高めることができます。

 今回は、計算が簡略にできるので、屈折率の変化が一定である条件で説明しています。直線的な変化ですが、モスアイ構造の形状によっては、直線にならない場合もあります。  反射防止機能で見た場合には、直線的な変化が理想的になるとは限りません。モスアイ構造の高さやターゲットとする波長、樹脂の屈折率等の影響を受けます。

 イノックスでは、有機ELの光取出しに関連するナノインプリント金型やフィルムサンプル(基材:PET、ガラスなど)を取り扱っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

ナノインプリント 展示会

CEATEC JAPAN 2012

 現在、幕張メッセにてCEATEC JAPAN 2012が開催されています。弊社の出展はありませんが、シャープブースにてモスアイを搭載した液晶テレビを展示しているとのことで、見学してきました。 

  

 モスアイフィルムを使用した展示物もあり、構造の有無による反射防止の効果を比較することができました。特に説明はされていませんが、殆ど映り込みがないことから両面にモスアイ構造が入っているものと思われます。以前紹介しましたモスアイボールモスアイBOXと同様のコンセプトで裏面にも構造をつけることで、裏面でも反射を抑制し視認性を高めていると思われます。

 

 モスアイを搭載した液晶テレビは写真ではわかりにくいですが、より良く見えていました。
反射率の数値や表面硬度などの性能は公表されておらず、気になるところでしたが実用レベルにはあると思われます。

 今回の展示会でモスアイについて知った方もいるかと思います。イノックスでは、モスアイ構造のナノインプリント金型やフィルムサンプル(基材:PET、ガラスなど)を取り扱っております。こんなところに応用できるのではないかなど、ご相談等ありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

スタンダードモスアイ金型スペック

*要求仕様がスタンダード製品と異なる場合は、基本的にカスタム製品 とさせて戴きます。
*上記、スタンダード製品以外にも、お客様の仕様に応じてカスタマイズ可能です。
*カスタマイズ製品に関しては、光学設計より承っております。